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2009年12月28日月曜日

鴨 A wild duck


「お父さん、カモネギって何の事?」
「雪の降る時期には、鴨に脂がのって美味しくなる。特に、青頚鴨なんかね。鴨鍋をするときに薬味の葱があると一層美味しい。転じて、事態が自分に都合のよい、ますます望ましい状況になることを言うんだよ」
「ふーん、高い地位にいた役人が天下りして、定年後も給料やボーナスをたんまりもらうとか」
「それも当たりカモね」

・銃口を 逃れし鴨の 浮寝かな (素粒子)

A wild duck sleeping on the surface of the water, getting rid of gun muzzle.

EOS40D, Canon EF70-200mm/F4L USM, zoom

2009年12月27日日曜日

予言


「お父さん、9月18日のブログのお父さんの予言が当たったね!」
「うむ、民主党の公約はかなり理想主義的だから、この先選挙公約を実行しきれなくて人々の期待が失望にかわる時期が勝負だ、と言った事かな」
「そうそう、どうしてお父さんは分かっていたの?」
「そりゃ、伊達にメシは食っとらん。ララとは違うよ! 理想と現実のギャップが大きいことを危惧したんだよ。そこで一句

・公約の 夢は枯野を 駆けめぐる 」

「ウーン、これも何かのパロディーくさいな」
「そう、「旅に病んで---」のパロディーさ。
いずれにせよ、民主党も茨の道だね。サボテンの棘みたいなイガイガの道をかきわけて歩むことになる」

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年12月26日土曜日

銀の月 Silver moon



「お天気姉さんが言うには、年末寒気団が来てるんだって。寒い!」
「犬が寒がるなんて、人間化してきたんじゃないのか?
もっとも、ララは生後40日目から我が家に来ているから、自分が犬か人間か分からないんだよね」
「どっちにしても寒いから、今日は散歩をやめようよ」
「いよいよ、萩原朔太郎の「月に吠える」という詩集を読むのにふさわしい季節が来たかな」

・朔風に 揺れる梢や 銀の月 (素粒子)
While the top of tree swaying against the north wind, the silver moon shines brightly and clearly in the dark sky.

「お父さんの田舎には、「月の明るい晩に影の無い人は、その年の内に亡くなる」という言い伝えがあるんだよ。だから、月の晩には人も犬も影があるかどうか----」

・山の端に 寒月懸り 影を踏む (素粒子)

EOS40D, Canon EF70-200mm/F4L USM zoom

2009年12月24日木曜日

天皇誕生日 Emperor's birthday


「ララちゃん、12月23日は天皇誕生日で祝日、お休みなんだよ」
「へえ、天皇ってなあに?」
「そうか、犬の社会にはないものね。天皇を一口で説明するのは難しいな。ずっと昔に日本を統一して、その血統が今まで続いているんだ。
今も統治しているかって?そういう訳じゃないけどね」
「じゃ、なんとなく偉い人なの?」
「うむ、明治維新から第二次大戦までは天皇を絶対的な権力者に仕立て上げたけれど、その前はみんなの幸せを祈る大いなる神主さんみたいだったんだって。お父さんは、そういう役割の方がふさわしいと思うな」

・天皇を 言祝ぐ鄙や 日章旗 (素粒子)

To celebrate the birthday of our emperor, people swing out the Japanese flag (HINOMARU) even in a deep country.

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro
つくば植物園にて、日の丸の旗の代わりに

2009年12月19日土曜日

薄氷


「ララ、元気が出るように面白い話をしようか!」
「どんな話?」
「お父さんが仙台にいた頃の話。今頃になると松島海岸では牡蠣がとれるので、牡蠣小屋が出来る。そこで牡蠣をむいたり、焼き牡蠣を食べさせたりするんだ」
「あ、お腹がすいてきた」
「松島には伊達正宗の建立した名刹の瑞巌寺がある。時々、ゴーンと鐘が鳴る」
「牡蠣と鐘に関係があるの?」
「そこで一句、

・牡蠣喰えば 鐘が鳴るなり 瑞巌寺 」

「ワンワン(笑)、お父さん、それは「柿食えば----」の悪乗りだよ!ああ、おかしい!お腹の皮がよじれる」
「ほら、少し元気がでたかな」

EOD40D, Canon EFS17-85mm/zoom
写真は氷の張った川面

2009年12月15日火曜日

シクラメン


「ララちゃんの胸のしこりを獣医さんに診てもらったんだ」
「で、お医者さんはなんて言ってたの?」
「多分脂肪の塊だろうけど、硬くなるようならまた連れて来てくださいって。経過観察だね」
「硬くなると、どうなの」
「癌の可能性がある。だけど、ララは心臓肥大の持病があるから簡単には手術ができないんだってさ」
「と、なると------------」

「シクラメンが咲いたから、これを見て元気を出そうよ」 

・シクラメン 落ち込むララを 励ませよ (素粒子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年12月9日水曜日

漱石忌


「ララ、今日12月9日は夏目漱石の命日だって知ってた?」
「ああ、あの「吾輩は犬である」の?」
「犬じゃなくて、猫。もともとは偉い英文学者なんだよ。軽妙なものだけじゃなくて、「三四郎」、「行人」とか「こころ」など、今の人にもわかる深い小説を書いているんだ」
「漱石は奥さんとお母さんが仲が悪く、間にたって苦労したとか聞いているけど」
「だから、小説を書くことに逃避したという説もある。俗説だけどね」

・薄紅の 衣まとひて 冬に咲く (風音)

・しみじみと 行間読むや 漱石忌 (素粒子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro
花はシャコバサボテン

2009年12月4日金曜日

帆船 日本丸 Sailing ship "Nippon-Maru"


「お父さん、この間横浜に行ったでしょ。何か美味しいもの食べたの?」
「ララは食べることばっかりだね。お仕事だよ。ついでに、ランドマークタワーの隣のドックに繋留されている帆船日本丸の写真を撮ってきたんだ」
「今でも帆船を使ってるの?」
「東京商船大学の学生の卒業訓練に使っているそうだよ。4年生になるとハワイまで遠洋航海訓練するんだって。ララもどう?」
「どうと言われても、もしハワイの沖で溺れたら 犬かきで日本まで戻れないし----」

・幾たびの波濤越え来て冬日和 (素粒子)
Nippon-Maru had plowed the waves several times, but now take a rest at harbor in a calm winter day.

・浮寝する日本丸や冬鴎  (同)
Nippon-Maru take a rest as if it were sleeping on the waves, common gull flying around the ship in winter.

EOD40D, Canon 24mm/F2.8 wide zoom

2009年11月29日日曜日

冬桜


「ララちゃん、冬桜が咲いたっていうから見に行こうよ!」
「冬に桜が咲くの?」
「春の桜とは違う種類かも知れないけど---」
「お弁当とお酒持って、ララのおやつも持って、冬の花見かな?」
「いや、ただ見るだけだよ」

「なーんだ、こういう桜なの。なんだか淋しくなるような、儚げな花なんだ」
「こういうものなんだよ。でも冬に桜が見られるなんて素敵じゃないか」

・爛漫の華やぎなくて冬桜 (素粒子)

EOD40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年11月27日金曜日

紅葉



「お父さん、今年の紅葉はどうですか?」
「ウーン、夏らしい暑い夏がなくて、今になってもそんなに寒くないから平地の紅葉はいまいちだね。だけど、その気になって良く見ると深紅色の素晴らしい紅葉もあるんだ。もう、残りの日を燃え尽きるくらいの紅葉がね」
「人は色んなニュアンスの色が見えていいな!犬は色彩感覚が鈍いからよくわからないんだ。うらやましい」

・残る日を燃えるが如くもみぢして (素粒子)

・日を透かし満天星もみぢ冬に燃え(風音)


EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年11月20日金曜日

仙台にて


「お父さん、また出張だったの?」
「ウン、古巣の東北大学電気通信研究所の共同プロジェクト研究会からお呼びがかかってね」
「ララが聞いても何のことかわかんないや」
「お父さんも、ところどころ若手研究者の発表内容がわからないところがあってね、歳を感じたな。懇親会の乾杯の音頭をとるくらいしか能がないよ」
「で、おみやげは?」
「はいはい、ちゃんとララの好きな”ずんだ餅”を買ってきましたよ」

・なつかしき街にたたずみ秋時雨 (素粒子)

・安達太良の鬼塚哀し雁渡る (同)

EOS40D, Canon EFS17-85mm, zoom

2009年11月16日月曜日

白鷺


「あっ、川底に鶴がいるみたい!」
「ララちゃん、あれはね鶴じゃなくて白鷺だよ」
「あの純白の鳥が降り立つとドブ川が明るく華やぐから不思議だね。掃き溜めに鶴との例えもあるし」
「おや、ララちゃんそんな事知ってるんだ。偉いね。それじゃ来年から小学校に上がるかい?」

・舞い降りて川辺華やぐ白鷺か (素粒子)

EOS40D, Canon 70-200mm/F4L USM

2009年11月14日土曜日

銀杏の落葉


「ララ、寒くなってきたね。犬は寒くなると嬉しいんだろ」
「ウン、寒い方が元気になる。いろいろな木の葉が色づいて晩秋の気配だね」
「お父さんの職場の銀杏並木も、目が覚めるような黄葉とその落ち葉がきれいなんだ」
「いいな、ララも行ってみたいな」

・金色に落ち葉散り敷く銀杏路(素粒子)

・曇天を明るう銀杏落葉かな(風音)


EOS40D, Canon 24mm/F2.8 wide zoom

2009年11月9日月曜日

青鷺


「お父さん、最近散歩の時に見かける大きな鳥は何?」
「じっとしているあの鳥か?あれは青鷺だね。小魚が寄ってくるのを辛抱強く待ち、パクッと食べるんだって」
「群れずに、一羽でゆうゆうとして風格があるね。アッ、飛んで行った。今度は電柱のてっぺんに留まったよ」

・「族議員 カラスをサギと 言い募り」

・「時が経ち サギからカラスへ 素地を出し」

・「族議員 事業仕分けで 出番なく」

「お父さん、それは俳句なの?」
「いや、初めて作った川柳のつもり」
「川柳じゃなくて、単なるダジャレじゃないの!しょうがないんだから」

EOD40D, Canon zoom 70-200mm/F4L USM

2009年11月7日土曜日

九州撮影小旅行




「お父さん、お帰りなさい。九州に行ってたんだね。楽しかった?」
「ララ、お父さんはお仕事で出張だったんだよ。ついでに休暇をとって、友達に案内してもらった撮影会は楽しかったね」
「撮影会はどんな所に行ったの?」
「まず、福岡県糸島郡の海岸沿いにある二見が浦。ここには伊勢志摩の夫婦岩みたいなペアの岩があってしめ縄が張ってある。それから山の方に入り、紅葉で有名は雷山神社。残念ながら、まだ紅葉にはちょっと早かったな。こういうのを薄紅葉と言うんだって。それからまた山に分け入り、白糸の滝。これは女性的な素敵な眺めだったな」
「自分だけ楽しんでずるい!お土産はあるんでしょうね!」

・「夫婦岩 神の旅立 浪しづか」(風音)

・「我が想い 至らざりしか 薄紅葉」(素粒子)

Nikon D200, Sigma 18-125mm/F3.8-5.6 DC OS HSM

2009年10月31日土曜日

山茶花


「さざんかさざんか咲いた道、焚き火だ焚き火だ落ち葉焚き---という童謡があったけど、今年も家の垣根の山茶花が咲き始めたね」
「うちのは早咲きだけど、これが咲くと間もなく木枯らしの季節になる」
「もう年賀状も売り始めたんだって?」
「そう、ララちゃんももう一つ歳をとることになる」
「うーん、嬉しいような、嬉しくないような複雑な気持ち」

・「山茶花の こぼれつぐなり 夜も見ゆ」(加藤 秋邨)

・「山茶花の 眠り見守る 夜半の月」(素粒子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

ガマズミ


「鳥さんの好きそうな赤い木の実があるね」
「あれはガマズミと言うんだ。夏に白い花が咲き、秋が深まると赤い実をつけるんだよ」
「なんだかあか抜けない名前ね」
「そのかわり、花言葉は素敵で「愛は死よりも強し」と言うんだって。ララちゃん、この意味わかるかな?」

・「ガマズミの 紅を湛えて 誰ぞ待つ」(あかね)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年10月25日日曜日

冬支度


「ウウ、煙が目にしみる」
「あれは脱穀し、玄米にしたあとのもみ殻を焼いているんだ」
「今年も豊作だったの?」
「夏らしい夏がなかったから、お米の出来も豊作という程でもないのかな。お米つくりはお天気次第だから苦労が多いんだよ。もみ殻焼きは晩秋の風物詩で、次は時雨の季節になり、もうすぐ冬がくる」

・「出来秋の もみ殻焼くや 冬支度」(素粒子)

・「秋半ば 我が人生の 今に似て」(同)

EOS40D, EF70-200mm/F4L USM

2009年10月24日土曜日

古民家


「今日は風土記の丘公園まで遠足だ!ララちゃん」
「ここには古墳が沢山あるんだね。随分古そうなお家もあるよ」
「古墳が沢山ある地域を公園にしたんだよ。これは明治時代の農家の茅葺きの家をここに移築したんだって。これを見るととてもなつかしくてじーんとなる」
「どうして?」
「だって、お父さんが生まれ、高校時代まで過ごした家とそっくりだからね。お父さんのところでは家の中で馬も飼っていたんだ。これを見ると子供の頃に家の周りで遊んだこと、いつも見ていた岩手山、姫神山や北上川も目に浮かんで来る」

やはらかに 柳あをめる 
    北上の 岸辺目に見ゆ
        泣けとごとくに (石川 啄木)

EOS40D, Canon EF 24mm/F2.8 wide zoom

2009年10月18日日曜日

すすき Withered silver grass


「すすきの穂が銀色に輝いて、わきにコスモスが咲いて、まさに秋の一幅の絵みたい」
「うん、小春日和といったところかな」
「でも、秋の日はつるべ落としで暮れるから寂しくなる」
「ララも寂しいか。日が暮れてすすきが風でたなびくとひとしおだね」

・「ゆく秋を 惜しむがごとく 銀すすき」(素粒子)

Withered silver grass swings as if it were regretted the passing autumn.

EOS40D, EF70-200mm/F4L USM

二十二夜供養塔


「この仏様、二十二夜供養塔とあるけど---」
「お父さんも詳しい事は分からないな。なんでも二十二夜目の月の出を拝んで女性特有の悩みを解消して頂こうと願う信仰らしい。だから、ララちゃんにもご利益があるかもしれないよ。よく拝んでおいたら」

・「石仏に 日の陰りゆく 秋の風」(ララのお父さん 改め 素粒子)

・「秋日差 石仏の背に しづかなり」(風音)

EOS40D, Canon EF70-200mm/F4L USM

2009年10月10日土曜日

野分


「今度の台風18号はすごかったね。久々の日本縦断だ」
「お父さんの近くでは竜巻が発生したんだって?」
「いや、びっくりだよ。幸い建物には被害はなかったけど、風がすごく渦巻いていたね」
「台風のことを野分と言うんだって?」
「昔はそう言ったみたい。大風が野の草を分けるって感じがでているよね。このあたりでも田んぼの稲が風の巻くままに倒れてしまって、取り入れ前のお百姓さんは大変だ」

・「野分過ぐ 刈り入れ前の 稲倒し」(ララのお父さん)

・「台風の 丹精の稲 なぎ倒し」(風音)

EOD40D, Canon EF70-200mm/F4L USM zoom

2009年10月4日日曜日

からす瓜


「藪の中にある赤い実はなあに?」
「あれはね、からす瓜」
「からすが食べるの?」
「さあ、どうかな。からすが食べているのを見たことがないね。誰に食べられることもなく、誰に顧みられることもなく、藪の中で毎年同じように花をつけ、実をつけ、朽ちていく」

・「誰知らず 過ぎゆく秋の からす瓜」(ララのお父さん)

EOD40D, CanonEF70-200mm/F4L USM zoom

2009年10月3日土曜日

中秋の名月


「今日は中秋の名月。お父さん、日本以外の国の人もこの風情がわかるのかしらね?」
「前にNIST(National Institute of Standard and Technology:USA)に行ってた時、お父さんと同じジョセフソン電圧標準を専門とする米国籍の中国人研究者と知り合って、夜メシを食べに街に出たんだ。ちょうど中秋の頃だった。問わず語りにノートに漢詩を書き出して彼が言うには、文化大革命を逃れて一人米国に渡ったけれども、月をみては李白の詩「静思夜」を口誦さみ、故国に残してきた家族を思いだしていたそうだよ。

牀前月光を看る
疑ふらくは是れ地上の霜かと
頭を挙げて山月を望み
頭を低れて故郷を思う

だから、国籍はどこであれ月を見て思いふけることはあるのではないかな。いや、人だけではなくて狼も満月に吠えるというし」

DOS40D, Canon 70-200mm/F4L USM zoom

2009年9月28日月曜日

小さな紅葉


お父さん、お彼岸が過ぎたら日の暮れるのが早くなったみたい」
「うん、そうだね。田んぼの刈り入れが進むとだんだん冬支度だからね。何となく気がせいてくる時期だ。経済状態も底を打ったと言うが、まだこの先どうなるか予断を許さないし----」

・「萩の風 何か急かるる 何ならむ」(水原 秋櫻子)

EOS40D, Canon 24mm/F2.8 wide zoom

2009年9月20日日曜日

コスモス



「コスモスがきれいだね」
「ララ、コスモスには宇宙という意味もあるんだよ。宇宙といえば、この間国際宇宙ステーションISSにドッキングした日本の無人輸送機HTVの技術は本当に素晴らしい。日本の誇りだ」
「人が乗っていないのにどうやって運転したの?」
「種子島からH2Bロケットで打ち上げて、お父さんの職場の隣のJAXA(宇宙航空研究開発機構)のつくば管制センターから電波で遠隔操作したんだって」
「ふーん、じゃウサギの住んでいる月にだっていけるね」

・「コスモスの 花あそびおる 虚空かな」(高浜 虚子)

・「コスモスの 百花繚乱と いう眺め」(大平 保子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月19日土曜日



「仙台の「萩の月」というまんじゅうは美味しいね」
「ララは食べることばっかり。全身食欲だね。秋になって萩の花が群生しているのは中々風情があるものだよ」
「有名な俳句があるんだって?」
「そうそう、萩についての沢山の句があるけれど、やはり芭蕉師弟の句に優るものはないと思うな」

・「一家に 遊女も寝たり 萩と月」(松尾 芭蕉)

・「行き行きて たふれ伏すとも 萩の原」(河合 曽良)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月18日金曜日

風船かづら


「お父さん、政権が変わったんだって?」
「昔、明治維新で政権が江戸幕府から明治政府に移った。このまま民主政権が続けば、それに匹敵する大きな時代の変化になるんじゃないかな。無血革命だ」
「官僚主導から政治主導へとか言ってるけど---」
「うむ、今までは実質的に官僚がお膳立てして政治家がそれに乗っかってきた。これからは政治主導で民意を大きく反映するということだね。そうあるべきだよ。ただ、かなり理想主義的だから、この先選挙公約を実行しきれなくてこの風船かずらがしぼむ様に人々の期待が失望にかわる時期が勝負だな」
「ララの暮らしはどうなるの?」
「もしかしたら、「犬は人に依存せず、自分のエサは自分で探すべし」という政策が出るかもね」
「エーッ!そんなこと言われても----」

・「風船かづら 揺れつつ日差し 刻みおり」(藤原たかを)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月13日日曜日

彼岸花



「不思議だよね、お彼岸の頃になると決まって彼岸花が咲くんだもの。曼珠沙華ともいう」
「そもそも彼岸ってなあに?」
「うむむ、難しい質問だな!彼岸というのは遥か西方にある極楽浄土のことらしい。それに対して煩悩に満ちたこの現世は此岸(しがん)と言うんだって。いまではお彼岸として仏教の行事になってしまったけど」
「ふーん、ララも彼岸に行けるかな。月よりも遠いの?」

・「つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華」(山口 誓子)

・「老い猫は 何処で果てしや 彼岸花」(坂口 三保子)

・「暁の 夢短かきに 彼岸花」(水野 恒彦)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月12日土曜日

花野


「名もない雑草が咲いている」
「こういう野の花もいいね、お父さん」
「華やかな春の花と違って秋の花は一抹の風情がある。ことに、通り雨などに揺れるのを見るとじーんと胸に来るね。こういうもののあわれな感じはララにもわかるかな?」

・「花野みな ゆれ初めたる 通り雨」(高木 晴子)

・「召されなば 花野このまま さまよいて」(原 柯城)

・「野ざらしを 心に風の しむ身かな」(松尾 芭蕉)

EOS40D, Canon EF24mm/F2.8 wide zoom

2009年9月7日月曜日

月のウサギ


「ちょっと赤みがかった満月が上がってきたよ」
「ララちゃんは月にウサギが住んでいるって知っているかい?」
「そう言えば、聞いたことがあるような---」
「昔むかし、兎・狐・猿の三匹の獣がいたそうな。そこにあわれな老人が通りかかって何か食べ物をめぐんでほしいと頼んだ。狐と猿は食べ物を探してきたが、ウサギは何も差し上げられず、わが身を焚き火に焼いてその老人に御馳走したんだって。その老人は実は偉い帝釈天で、ウサギの心をあわれんで月にウサギの形を永遠に残したんだと今昔物語にあるんだよ」
「それじゃ、ララは月に住めないや」

・「君知るや 月のウサギの 悲しみを」(ララのお父さん)

EOS40D, Canon wide EF70-200mm/F4 L USM

2009年9月5日土曜日

鶏頭


「鶏頭が咲きだしたよ。もう秋だね」
「「鶏頭になるとも牛後になるなかれ」ってこの花のことなの?」
「ララもしゃれた事を知っているじゃないか!でも、それはちょっと違うな。その諺の意味は、大きな組織の中に埋もれているよりも自分で道を切り拓けという意味だよ。まあ、それはそれとしてここでは鶏のとさかのように赤い花のことさ」

・「鶏頭や 雁の来る時 尚あかし」(松尾 芭蕉)

・「鶏頭に 秋の日の色 きまりけり」(久保田 万太郎)

・「鶏頭起きる 野分の地より 艶然と」(橋本 多佳子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年8月29日土曜日

蓮の浮葉


「ララちゃん、叔母さんが99歳で亡くなったので、先週末は葬式のために新幹線で盛岡まで行って来たんだよ」
「久しぶりの帰郷だったの?」
「うん、着いた晩は分校(へき地では小学校低学年は住まいに近い小さな学校に通う)の時の同級生が集まって同級会を開いてくれたんだ。懐かしい顔と会えて嬉しかったな。もう秋の気配が濃くて、それにお父さんも人生の秋だし、人恋しくなるね」

・「秋立つや 川瀬にまじる 風の音」(飯田 蛇笏)

・「波なりに ゆらるる蓮の 浮葉かな」(正岡 子規)

EOD40D, Canon EFS 17-85mm/F4-5.6 IS USM

2009年8月21日金曜日

オオイヌタデ


「日中は暑いけど、朝晩は過ごしやすくなってきたような」
「そうだね、立秋もすぎて、お盆もすぎて、気がつかないうちに夏から秋に季節が移り変わっているんだね。ララも楽になってきたかな。この赤い穂のような花の雑草は秋の始まりを教えてくれるんだよ。オオイヌタデと言うそうだ」
「どうしてイヌがつくのかしらね」

・「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども
  風の音にぞ 驚かれぬる」(古今集:藤原 敏行)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年8月15日土曜日

朝顔


「ララが生まれる50年以上も前に大きな戦争があって二百数十万人が亡くなった。8月15日はその終戦の記念日だよ」
「何でそんな戦争をしたの?」
「それは、日本とアメリカの覇権争いの結果だな。自らの力量も見極めず戦争をゴリ押しした軍部もバカだったし」
「じゃ、亡くなった人たちは無駄死にだったのかしら」
「いや、無駄ではなかった。いまの日本はその人達の犠牲の上にあるのさ」

・「土熱く 灼けゐし記憶 終戦日」(沢木 欣一)

・「朝顔の 紺の彼方の 月日かな」(石田 波郷)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年8月13日木曜日

観音様


「境内に立っているこの仏様は誰?」
「これは観音様だよ。観世音菩薩ともいう優しい仏様だ」
「なんだか、包容力のある優しいお母さんの感じだよね」
「なんでも、世の中のどんな事もあるがままに受け入れ、どんな願いも苦しみも聞き届けてくださるそうだよ」
「じゃあ、ララの「人間になりたい」っていう切ない願いを聞いてもらえるのかしら」

・「緑陰で ほほえみ給う 観世音」(ララのお父さん)

EOD40D, Canon 70-200mm/F4L USM

ララの昼寝


「おや、ララちゃんは夏バテかな?」
「今年の夏は、雨ふりと蒸し暑さでぐったりです。こういうときは昼寝が一番。やっぱり、夏はカラッと強烈な日差しがいいな!」
「今年も異常気象みたいだ」
「毎年異常気象と言っているから、異常であることが普通なのかしらね。でも、異常が当たり前って何か変!」


・「暑き日は 暑きに住す 庵かな」(高浜 虚子)

・「たましひの ほとほとさびし 昼寝覚」(日野 草城)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年8月10日月曜日

酔芙蓉


「お盆の頃になると酔芙蓉が咲き出すんだ。これは咲き始めで、花弁が開ききる直前の写真だよ」
「酔っぱらうという字のついた花は珍しいね」
「花の色が酔っぱらってほんのり赤くなった人の色に似ているんだって」
「お父さんもお酒が好きだからな。でもこんな可愛らしい色にはならないけど」
「これ、ララ!」

・「哀歓の 常に酒あり 酔芙蓉」(福田 蓼汀)

・「ゆめに見し 人のおとろへ 芙蓉咲く」(久保田 万太郎)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年8月9日日曜日

夏つばめ


「お父さん、さっきからカメラを構えて何を狙っているの?」
「いつも静止している花などを撮っているから、今度は飛んでいる燕を撮ってみたと思っているんだけど中々撮れないんだ。シャッターを押す間もなく、あっという間に飛び去ってしまうんだよ。カメラの自動追尾焦点も間に合わないからね」
「佐々木小次郎の燕返し、みたいな感じなの」
「これがようやく撮れた一枚だよ!田の稲の上でムシを捕えようとしている一瞬だ」

・「夏燕 田の面かすめて 矢のごとく」(加藤 兵四郎)

・「むらさきの こゑを山辺に 夏燕」(飯田 蛇笏)

EOD40D, CanonEF70-200mm/F4 L USM

2009年8月1日土曜日

緋鯉


「このブログを見ている人達に暑中見舞いをしようね」
「お見舞いなの?」
「うん、病気のお見舞いじゃなくて、梅雨が明けてからお盆までの間に「お暑うございます、お変わりありませんか」と挨拶することなんだよ。葉書に夏らしい絵を添えてね」
「じゃ、ララの絵じゃ暑苦しいね。毛皮を着ているから」
「そうさ、涼感をそそる水辺の絵なんかがいいんじゃないかな」

・「蓮浮葉 緋鯉の恋は 片思い」(詠み人知らず)

・「手を打てば 悠然と来る 錦鯉」(堀口 北斗)

EOS40D, Canon EFS 17-85mm/F4-5.6

2009年7月25日土曜日

千日紅


「お父さんはどういう生き方が好き?」
「ララちゃん、それはまた随分ストレートな質問だね!好きも嫌いも、もう人生の半分以上過ぎているから今更どうしようもないさ。だけど、「雨ニモマケズ」という詩に表現されているような生き方はいいね。この歳になるとしみじみとわかるよ」
「ああ、あの宮沢賢治の詩ね。後半の
ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニワタシハナリタイ というところあたりかな」
「そうそう。彼自身も理想として出来なかった生き方かも知れないね。死ぬ直前に枕元にあった手帳に走り書きしたらしい」

・「咲くものの 赤きが多し ひでり雲」(小沢 満佐子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年7月19日日曜日

はぐれ鳥



「ララ、お父さんの職場の隣に洞峰公園 http://www.dohopark.net/ があって、夕方散歩に行ったら、あひると鴨が一緒に遊んでいたよ」
「鴨は渡り鳥で冬の季語になっているくらいだから、今は北に帰っている時期じゃないの?」
「これだけが帰りそびれたのかもね」
「そういうのを、はぐれ鳥というのかしら」
「うむむ、人生はぐれ鳥とか、政界はぐれ鳥とか、はぐれ刑事とかいろいろあるね」

・「帰る場所 求めて彷徨う はぐれ鳥」(詠み人知らず)

EOD40D, Canon 24mm/F2.8 wide

2009年7月18日土曜日

さるすべり


「お父さん、「猿も木から滑る」という諺があったっけ?」
「ララ、それはね「猿も木から落ちる」だよ。得意なことで失敗することさ」
「例えば、今の政治のゴタゴタのもとになっている総理大臣のこと?」
「それは違うね。もともと総理大臣の責務を全うする能力の無い人をその席につけて陰で操ろうとした人達がいたけれども、筋書き通りに踊れなくて破綻したのだ。自民党の混乱ぶりは目も当てられないね」
「それじゃ、せっかく木に登らせてもらったのに滑り落ちるんだから「猿も木から滑る」という諺もありじゃないの」
「そうか、それで本日のお題の「さるすべり」につながるんだ!ララもやるね」

・「炎天の 地上花あり 百日紅」(高浜 虚子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro