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2009年9月28日月曜日

小さな紅葉


お父さん、お彼岸が過ぎたら日の暮れるのが早くなったみたい」
「うん、そうだね。田んぼの刈り入れが進むとだんだん冬支度だからね。何となく気がせいてくる時期だ。経済状態も底を打ったと言うが、まだこの先どうなるか予断を許さないし----」

・「萩の風 何か急かるる 何ならむ」(水原 秋櫻子)

EOS40D, Canon 24mm/F2.8 wide zoom

2009年9月20日日曜日

コスモス



「コスモスがきれいだね」
「ララ、コスモスには宇宙という意味もあるんだよ。宇宙といえば、この間国際宇宙ステーションISSにドッキングした日本の無人輸送機HTVの技術は本当に素晴らしい。日本の誇りだ」
「人が乗っていないのにどうやって運転したの?」
「種子島からH2Bロケットで打ち上げて、お父さんの職場の隣のJAXA(宇宙航空研究開発機構)のつくば管制センターから電波で遠隔操作したんだって」
「ふーん、じゃウサギの住んでいる月にだっていけるね」

・「コスモスの 花あそびおる 虚空かな」(高浜 虚子)

・「コスモスの 百花繚乱と いう眺め」(大平 保子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月19日土曜日



「仙台の「萩の月」というまんじゅうは美味しいね」
「ララは食べることばっかり。全身食欲だね。秋になって萩の花が群生しているのは中々風情があるものだよ」
「有名な俳句があるんだって?」
「そうそう、萩についての沢山の句があるけれど、やはり芭蕉師弟の句に優るものはないと思うな」

・「一家に 遊女も寝たり 萩と月」(松尾 芭蕉)

・「行き行きて たふれ伏すとも 萩の原」(河合 曽良)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月18日金曜日

風船かづら


「お父さん、政権が変わったんだって?」
「昔、明治維新で政権が江戸幕府から明治政府に移った。このまま民主政権が続けば、それに匹敵する大きな時代の変化になるんじゃないかな。無血革命だ」
「官僚主導から政治主導へとか言ってるけど---」
「うむ、今までは実質的に官僚がお膳立てして政治家がそれに乗っかってきた。これからは政治主導で民意を大きく反映するということだね。そうあるべきだよ。ただ、かなり理想主義的だから、この先選挙公約を実行しきれなくてこの風船かずらがしぼむ様に人々の期待が失望にかわる時期が勝負だな」
「ララの暮らしはどうなるの?」
「もしかしたら、「犬は人に依存せず、自分のエサは自分で探すべし」という政策が出るかもね」
「エーッ!そんなこと言われても----」

・「風船かづら 揺れつつ日差し 刻みおり」(藤原たかを)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月13日日曜日

彼岸花



「不思議だよね、お彼岸の頃になると決まって彼岸花が咲くんだもの。曼珠沙華ともいう」
「そもそも彼岸ってなあに?」
「うむむ、難しい質問だな!彼岸というのは遥か西方にある極楽浄土のことらしい。それに対して煩悩に満ちたこの現世は此岸(しがん)と言うんだって。いまではお彼岸として仏教の行事になってしまったけど」
「ふーん、ララも彼岸に行けるかな。月よりも遠いの?」

・「つきぬけて 天上の紺 曼珠沙華」(山口 誓子)

・「老い猫は 何処で果てしや 彼岸花」(坂口 三保子)

・「暁の 夢短かきに 彼岸花」(水野 恒彦)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro

2009年9月12日土曜日

花野


「名もない雑草が咲いている」
「こういう野の花もいいね、お父さん」
「華やかな春の花と違って秋の花は一抹の風情がある。ことに、通り雨などに揺れるのを見るとじーんと胸に来るね。こういうもののあわれな感じはララにもわかるかな?」

・「花野みな ゆれ初めたる 通り雨」(高木 晴子)

・「召されなば 花野このまま さまよいて」(原 柯城)

・「野ざらしを 心に風の しむ身かな」(松尾 芭蕉)

EOS40D, Canon EF24mm/F2.8 wide zoom

2009年9月7日月曜日

月のウサギ


「ちょっと赤みがかった満月が上がってきたよ」
「ララちゃんは月にウサギが住んでいるって知っているかい?」
「そう言えば、聞いたことがあるような---」
「昔むかし、兎・狐・猿の三匹の獣がいたそうな。そこにあわれな老人が通りかかって何か食べ物をめぐんでほしいと頼んだ。狐と猿は食べ物を探してきたが、ウサギは何も差し上げられず、わが身を焚き火に焼いてその老人に御馳走したんだって。その老人は実は偉い帝釈天で、ウサギの心をあわれんで月にウサギの形を永遠に残したんだと今昔物語にあるんだよ」
「それじゃ、ララは月に住めないや」

・「君知るや 月のウサギの 悲しみを」(ララのお父さん)

EOS40D, Canon wide EF70-200mm/F4 L USM

2009年9月5日土曜日

鶏頭


「鶏頭が咲きだしたよ。もう秋だね」
「「鶏頭になるとも牛後になるなかれ」ってこの花のことなの?」
「ララもしゃれた事を知っているじゃないか!でも、それはちょっと違うな。その諺の意味は、大きな組織の中に埋もれているよりも自分で道を切り拓けという意味だよ。まあ、それはそれとしてここでは鶏のとさかのように赤い花のことさ」

・「鶏頭や 雁の来る時 尚あかし」(松尾 芭蕉)

・「鶏頭に 秋の日の色 きまりけり」(久保田 万太郎)

・「鶏頭起きる 野分の地より 艶然と」(橋本 多佳子)

EOS40D, Sigma 105mm/F2.8 macro